眠らせ森の恋
「俺が気に入らないのか」
「違います」
と言うと、意外そうな顔をする。
「社長のことは素敵な人だな、と思ってましたし。
こうしていても、正直嫌じゃないです。
でも、違うなって思うんです」
「何故だ?
まさか、眠って目を覚ましたら、理想通りの王子様が現れるとか思ってるわけじゃあるまいな」
その歳で、という口調で奏汰は言ってきた。
「そんな夢みたいなことあるとは思っていません」
いや、もしかしたら、今がその状態なのかも、と思う。
だからこそ、信じられないし、なんだか許せない。
「奏汰さんは、誰でもよかったんですよね?
たまたまあの場に居て、白河さんと面識のない女なら」
私ではない新人さんがあの場に居たとしても、きっと、奏汰さんは同じことをして、同じことを言って。
もし、あのとき、自分がお茶を持って行かなかったら、今、此処でこうしていたのは、その子だったかもしれないのだ。
そう思うと、なんだか悲しくなってくる。
だが――
「違います」
と言うと、意外そうな顔をする。
「社長のことは素敵な人だな、と思ってましたし。
こうしていても、正直嫌じゃないです。
でも、違うなって思うんです」
「何故だ?
まさか、眠って目を覚ましたら、理想通りの王子様が現れるとか思ってるわけじゃあるまいな」
その歳で、という口調で奏汰は言ってきた。
「そんな夢みたいなことあるとは思っていません」
いや、もしかしたら、今がその状態なのかも、と思う。
だからこそ、信じられないし、なんだか許せない。
「奏汰さんは、誰でもよかったんですよね?
たまたまあの場に居て、白河さんと面識のない女なら」
私ではない新人さんがあの場に居たとしても、きっと、奏汰さんは同じことをして、同じことを言って。
もし、あのとき、自分がお茶を持って行かなかったら、今、此処でこうしていたのは、その子だったかもしれないのだ。
そう思うと、なんだか悲しくなってくる。
だが――