眠らせ森の恋
「してみよう、眠り姫。
 してみたら、わかることもあるかもしれないぞ」

 そう言ったあとで、奏汰は笑った。

「いや、眠らせ姫かな。
 無理やり俺を眠らそうとするから」
と。

「……気づいてたんですか」

「いや……、気づいてない、という想定がそもそもおかしいだろ?」

 バレバレだろ、と言ったあとで、腕をつかんだまま、自分を見下ろし、
「よし、するぞ」
と予告してくる。

 いやいやいやいやっ。
 今、いつもより顔が近いというだけで、これだけドキドキしてるのにっ。

 キスとか無理ですっ、無理ーっ。

 だが、奏汰は相変わらず、人の話は聞いてない。
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