眠らせ森の恋
 一瞬、常にスマホを握っている高校生の弟と重ね合わせてしまい、

 スマホ依存症か?
 と思ったのだが、そうではないだろう。

 メールを見ているようだった。

 西和田が自分を連れて入ると、こちらを見、
「ありがとう、西和田。
 もう仕事に戻っていいぞ」
と言う。

 はい、と西和田は一礼し、下がる前に、あの切れ長の目で、いいから、ご無礼な真似はするなよっ、と訴えてきた。

 はっ、はいっ、と緊張しながらも思ったとき、奏汰はもう目の前まで来ていた。

 うわっ、と声を上げそうになる。

 この間も思ったけど、男の人だけど、なんかいい匂いがするな、この人、と思う。

 西和田もそうだが、人に対して良い印象を与える微かな良い香りがする。

 常務なんかは、やり過ぎて香水臭いが。
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