眠らせ森の恋
 



 西和田が去って、しばらくひとりで仕事をしていた奏汰の許に、ノックをして、つぐみが現れた。

「社長、お茶ですっ」
と突き出してくるが。

 いや、頼んでないんだが……と思う。

 つぐみは何故か手に紙袋を持っている。

「脱いでくださいっ」

「此処でか。
 なにをだ?」

 セーターに決まってるじゃないですかっ、とつぐみは勝手に服を脱がそうとする。

「莫迦、やめろっ」
と言ったが、

「みんながセーター見せろって言うんですっ。
 あの状態から、そんな一気に出来るわけないって。

 早く脱いでっ」

 私、嘘つきになっちゃいますっ、とつぐみは言って無理やり、デスクに自分を押し付け、スーツのボタンを外してくる。

 襲われる……と思った。
< 289 / 381 >

この作品をシェア

pagetop