眠らせ森の恋
退出したつぐみを英里たちが待っていた。
「社長、大丈夫?」
と訊かれ、はい、たぶん、と振り返りながら言う。
「で、結婚するわけね」
聞いていたのか、そう言ってきた。
「……はい、弾みで」
と言うと、
「なに渋い顔してんのよ。
社長のなにが不満なのよ」
と睨まれる。
「いや、不満、というわけではないのですが。
なにかこう、結局、社長の思惑と策略にはまったようなというか」
「あら、はまりたいわ。
そういう策略なら」
と英里は言い、正美は笑っていた。
「あんた、社長が嫌いなの?」
と正面切って英里に問われる。
つぐみは、うーん、と考えた。
一緒に写真を撮られてからの様々なことが思い出された。
強引で勝手な人だとは思うが、一緒に暮らしていて楽しくなかったかと言うと、そんなこともない。