眠らせ森の恋
なんだかんだ言っていたわりに、奏汰は、唐揚げをぺろっと食べていた。
風邪をひいたのは、やはり、気が弱っていたからだったのだろうかな、とつぐみは思う。
しかし、会議が上手くいったので、また調子こいて、
「たまには風邪をひくのも悪くないな」
とほざいていたが。
ひいたら、きっとまた、今にも死ぬようなこと言って騒ぐくせにな……と思っていた。
「よし、つぐみ。
お前のカクテルのおかげで、風邪もバッチリ治ったぞ」
そうですか、と言い、つぐみは洗い上がった茶碗を食洗機から出して片付ける。
「そろそろ寝ようか」
そうですか、と言い、歯を磨く。
「……おい。
いつまでも素知らぬ顔してられると思うなよ」
と言いながら、奏汰は、そのままさりげなく逃げようとしたつぐみを抱き上げた。
「お姫様抱っこで運んでやる。
今日は見返りがあるはずだから、喜んで」
と言ってきた。
「ないですっ、見返りなんてっ」
とつぐみは奏汰の腕の中で暴れる。
「往生際悪いな。
結婚するんだろ、俺と」
「しませんっ。あっ、いや……しますけど」
と言ってしまい、笑われた。