眠らせ森の恋
「結婚しろ、つぐみ」
つぐみの、紅茶に入れようと、ミルクを持った手が止まる。
あれからタクシーを飛ばしてきた自宅のソファ。
親はうるさいけど、やっぱり、家は落ち着くな、と思う間もなく、雅広がそう言ってきたのだ。
雅広は溜息をついて言う。
「どんな事情があるのか知らないが、白河の奥様もお喜びだ。
もうこのまま、結婚して、白河さんに仲人をしてもらえ」
ひいいいいいっ。
「半田の息子も白河さんのために百組目のカップルになろうとしたんだろ。
だったら、お前もその社長も腹をくくれ」
と言われてしまう。
そんな、社長はほんの親切心からしたことで。
私は巻き込まれただけなのにっ、と思いながら、つぐみは固まる。