眠らせ森の恋
 



 そのあと、社長室に向かって、廊下を歩きながら、つぐみはドキドキしていた。

 奏汰に内緒であるものを手に入れたからだ。

 怒られるかもしれません。

 でも、私の人生において、あれは必需品なんですっ。

 そう思いながら、お茶を出しに奏汰のところに行くと、さすが鋭い奏汰は、つぐみの微妙な変化を感じ取ったようで、胡散臭げにつぐみを見ていた。

 取り繕おうと笑顔を浮かべると、更に渋い顔をする。

 ……新妻の顔を見て、その表情はどうなんでしょうね、と思ったが、それ以上に自分が不気味な顔をしているのかもな、とちょっと思った。




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