眠らせ森の恋
 



「……つぐみ、これはなんだ」

「コタツです」

 二階まで吹き抜けになっている素敵な洋間のリビングの中央に、どん、と大きなコタツが置かれている。

 帰宅してそれを見た奏汰は、案の定、渋い顔をする。

「似合わないだろうが……」

「思った以上に似合わなかったですね」

 輸入物の家具や調度品のど真ん中にコタツ。

 いや、出来るだけ部屋に馴染むものを選んだつもりだったのだが……。

 奏汰はコタツを見つめ、言ってくる。

「コタツは駄目だ……。

 あれは人を堕落させるものだと聞いている」

 やっぱりか。

 以前、そのようなことを言っていた気がしたから、そっとネットで買ってみたのだが。
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