眠らせ森の恋
 訊いてはまずいのかな、と思いながらも、まだ奏汰の横に立ったまま、訊いてみた。

「あのー、社長。
 今の写真は、どちらに送られたんですか?」

 奏汰は仕事の手を止め、こちらを見て言う。

 無断で写真を送った以上、教えてやらねばならないか、と思ったようだった。

「昔からお世話になっている白河しらかわさんという人だ」

 白河さん……。

 一度、社内で遠目に見たことがあるな、と思った。

 確か、品のいい老夫婦だ。社長を訪ねてきたことがある。

 社長が珍しく打ち解けて話していたから記憶にあったのだ。

「あの、それで、何故、私の写真を白河さんに」

「お前の写真じゃない。
 俺の嫁の写真だ」

 は?
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