眠らせ森の恋
「そりゃあ、便利な夢遊病だな」
と言ったあとで、奏汰は偉そげに腕を組んでこちらを見、

「俺が運んだに決まってるだろうが」
と睨んできた。

「感謝しろよ。
 まだ、なにもさせてもらってないのに、二日連続お姫様抱っこで階段登ったんだぞ」
とリビングの螺旋階段を指差す。

 それを見ながら、つぐみは言った。

「えっ、すみませんっ。
 あの階段、エスカレーターだったら、よかったですね」

「……そう来るか」

 阿呆なこと言ってないで早く行け、と茶碗までさげてくれる奏汰に急かされた。





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