眠らせ森の恋
 



「おはようございますー」
と会社に行くと、早速、朝の嫌味を英里がぶちかましてきた。

「相変わらず、間の抜けた挨拶ねえ」

 そういうのがモテるのかしら、やってみようかしら、などと言い出す。

「なに言ってんですかー。
 私より英里さんの方がモテますよ。

 いてててて」

 いきなり頬をひね切られ、なにするんですかー、と振り返ると、
「いや、微妙に上から物を言われた気がしたからよ」
と言ってくる。

 濡れ衣だ……。

「ああ、そうだ、英里さん。
 なんかいい夕食のメニューって、ないですか?」
と訊くと、英里に、はあ? と言われる。
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