(完)最後の君に、輝く色を
「ほんと一瞬だったじゃん」



そう。



ある日、平田先生に呼ばれて職員室に行って電話に応対させられた。



それはコンクールで最優秀賞をとったあの絵を見たあるスポーツ選手の方で。



とても感動した、SNSで紹介してもいいかという内容だった。



私はとにかくあの絵が飛鳥に届いて欲しい一心だったから、すぐに許可した。



大した選手だとは思っていなかったのだ。



それがなんとなんと、世界で活躍するサッカー選手だったらしく、その人があげた投稿は瞬くうちに拡散された。



いろんな人から称賛のメッセージを頂き、雑誌やテレビの取材までやってきた。



絵を売ってくれという依頼も沢山受けたけど、とりあえず中学卒業まではそれは自重した。



それでもこんな田舎町に有名人がともてはやされた。



もともと人前はあんまり好きじゃないから、
もし飛鳥に届いてなかったら私の苦労はなんだったのかと絶望する。



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