(完)最後の君に、輝く色を
「ほんっと、そのアスカくんが好きなんだね」



「うーーん」



「何?しらばっくれるつもり?」



「私さ、飛鳥と過ごしたあの時間に好きっていう感情は一切なかったと思うんだ」



ラブじゃなくてライク、わかりやすく言えばそんな感じだ。



戦友みたいな、一番分かり合える存在みたいな。



「じゃ、今もそうだっていうの?」



しばらくして、ナナは怪訝そうに眉を曲げた。



「ううん。会えなくなってからさ、いないってわかってんのに、私何度も何度も無意識に屋上いこうとしてたの」



「こっわ」



「うるさいなあ。それで、毎日会いたい気持ちがどんどん膨らんで、
話を聞いて欲しくて、
あの一緒に過ごした時間を思い出したら胸が苦しくて、無性に泣きたくなって」



そう話してたら自然と口角が上がって、笑えてくる。



最近気づいたんだ。



「会えなくても、人は恋するんだね。
私今飛鳥に恋してる」




ナナは呆れたようにため息をついた。



「恋すると女子は可愛くなるとか言うじゃん?
信じてなかったけど、悔しいけど認めるわ。
あんた今が一番可愛いわ」



「ええ?急に褒めないでよ。照れるじゃん」



「ああもううぜえ、ブスになればいいのに」



「恐ろしいこと言わないでよ」




< 117 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop