(完)最後の君に、輝く色を
私は島内夏実。


中学二年生。
冬休みを終え、今週から三学期が始まった。



昔から絵を描けば天才だ、なんだと、賞賛され続けてきた。



絵を描くこと大好きで、それはいつになっても変わることはなく、中学校でも美術部に入部した。



だけど、だんだん描きたいものはなくなって、描いたものは駄作でしかなくて、誰でもかける絵しか描けない。



世界が色をなくしたわけじゃなくて、私がその中で輝く一つを見つけ出す眼力をなくしたのだ。



広いキャンパスの中で今の私は1人ぽっち。




「ねえ、見てよこの絵、やばくない?」



「もう何度も見たっつの」



「そんな言わないであげてよ瑠衣。馬鹿なんだから仕方ないじゃん」



「ばっ、馬鹿って私のこと?」



「他に誰がいるの」



そんな私のスランプに気づくことはなく優菜は昼休みになっても絵を褒め続けた。



優菜と共に、小学校からずっと一緒の親友である蒼と瑠衣も優菜には呆れた顔を見せながらも私の絵は認めてくれている。



何も言わないで気づいて欲しいなんて傲慢極まりないことはわかっている。



そうやって自分を責めて、繰り返される負の連鎖にうんざりする毎日。




私以外の全てが、私を置いてどんどん先に行ってしまうようで怖くて苦しくて、




置いていかれないように私はまた今日も放課後、筆を動かすんだろうな。




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