(完)最後の君に、輝く色を
平田先生だ。



先生は真剣な顔で深く頭を下げた。



なぜここに先生がいるのかわからなくて、開きかけていた口をパクパクと動かす。



「たぶん、島内は俺のせいだって言うことができなかったんです。
井上のことも今回は見逃してやってくれませんか」



井上は瑠衣の名字だ。



たしかに、昼休み話したけど、遅れたのは先生のせいじゃない。



それなのになんで…



瑠衣やみんなも驚いた顔でこっちを見ている。



「そうですか。…それなら今回は平田先生に免じて許しましょう。
さっさと席に着かんか」



ため息をついて、そう言ったペリー先生はまた黒板に体を向けて授業を再開した。



振り返った先生に、口パクでありがとうと言って、両手を合わせる。



先生も口パクで気にすんなと言って、私の頭にポンっと手を置いて教室を出て行った。



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