(完)最後の君に、輝く色を
怯える自分を叱咤激励して、言い返そうと口を開きかけた時、京子ちゃんは私を守るように間に立った。



「うーん。でも意外と暇なんだよ?
一日中寝てろって言われたらすることなくなっちゃうしさ」



京子ちゃんはさっきと変わらない笑顔でそう話して、播磨さんの肩を軽くポンっと叩いた。



まるで本物の友達同士がふざけ合うかのように。



思っていた通りの返事じゃなかったせいか、平田ガールズはもう一度睨みつけてから、ドアから出て行った。



「ごめんね、夏実。アタシがあまり来れないせいで大変なんじゃない?」



申し訳なさそうに眉間にしわを寄せて話す京子ちゃんを見ていたら、



涙がこぼれ落ちそうになった。



自分が不甲斐なくて、情けなくて。



いつも守られてばっかりだ私は。



クラスの男子にからかわれた時は、優菜が一人一人に飛び蹴りを食らわせて止めてくれたし、



明らかなデタラメの噂を執拗に流された時は、蒼が発信源とそれを流した人たちを特定してどうやっとのかは知らないけど消し去ってくれたし、



先生に怒鳴られた時は、瑠衣が身代わりになって、先生が頭を下げてくれて。



そして今は京子ちゃんに心配そうな顔で見守られている。



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