(完)最後の君に、輝く色を
それくらいそいつは綺麗だから、初めて出会った時は目を離せなかった。



「おい、生きてんのか」



石のように全然動かないそいつに声をかけた。



これでも真剣に心配している。



こんな言葉遣いしかできないのは俺の辿って来た境遇に問題がある。



「ねえ、飛鳥。どうしたら私は強くなれるのかな」



「自分が大嫌い。弱くてつまんなくて誰も助けられない自分が大嫌い」



吐き出すように次から次に言葉を発して、彼女は綺麗な涙を流した。



俺は何をすればいい?



声をかける?



なんて言えばいい。




抱きしめる?



こいつはそんなの望んでない。



脱力したように座り込むそいつに俺はただ近づくことしかできない。



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