(完)最後の君に、輝く色を
その体はぞんざいに扱えば簡単に壊れてしまいそうで。



俺は自然に震える手でその瞳に浮かぶ涙を拭った。



「夏実」



呼びかけると、夏実は驚いた顔を上げた。



そして、その手を掴んで俺は屋上から飛び出した。




「飛鳥?どこ行くの?」



「知らねえ、俺が行きたいとこ」



「はいーー?私学校がっ、」



「お腹が痛くてずっとトイレで座ってたって言えばいい」



「ええーー」



俺の適当な返事に夏実は動揺を隠せないでいる。



ま、当たり前か。



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