(完)最後の君に、輝く色を
夏実は子供の頃から正反対と言われてきた兄貴と俺を見比べてしばらく圧倒されていたけど、慌てて頭を下げた。



「しいかさん…あ、私、島内夏実です。飛鳥くんとは…友達?じゃないか、えーっと」



関係性について頭を抱えて深く悩む様子に思わず笑ってしまう。



適当に友達だと言ったかばいいのに、それをしない。



「友達だよ」



俺に哀れな視線を向ける兄貴に横からそう答えた。



「そーかそーか。まあいいや。じゃこっち来なよ」



兄貴に案内されて、夏実はキョロキョロと辺りを見回しながらその後を付いていく。



成されるがままにミットなんかをもたされて、ハッと気づいたように俺の制服を掴んで来た。



「えっと、飛鳥…もしかして私が強くなりたいって言ったから…ここに?」



「うん」



「そういう意味じゃなかったんだけど…」



「わかってるっつの。ほら行ってこいよ」



少し引き気味の夏実を押し出して、俺はベンチに腰掛けた。


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