(完)最後の君に、輝く色を
秘色
「できたっ!」



鉛筆を投げて、スケッチブックを高く掲げた。



二週間かけて必死で練った、構想が納得のいく形で出来上がった。




ようやくこれで、キャンパスに描き出せる。



次のコンテストには間に合いそう。



苦労を噛み締めていると、いつのまにか、端正な顔が目の前に広がっていて思わずのけぞった。



「なんだよ。見せろよ」



「嫌だ!」



飛鳥はキックボクシングに行ってからなんとなく今までより距離が近くなった気がする。



見えない壁が取り払われた感じ。



「なんでだよ。俺がモデルだろ」



「完成したら見せるってば!」



「待てねえよ、今見せろ!」



「あっ、もうすぐチャイムが鳴る!じゃあね!」



追ってくる手をのがれて素早く、立ち上がってドアのそばまで移動した。



「夏実…」



きゃー、怒ってらっしゃる。



とりあえず、笑顔を作って手を振った。



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