(完)最後の君に、輝く色を
「じゃあね!心配かけてごめん!また明日!」



「バイバーイッ」



廊下で瑠衣と別れて、美術室に向かった。



ああ、どうしよう平田ガールズがいたら。



間違いなく噂は耳に入っているだろうな。



ダメダメ。強くなるって決めたんだから。



不安を取り払って、足を進めていく。



そして、美術室のドアを開けた瞬間、私は腕を掴まれて引きずりこまれた。



床に投げ出され、お尻を強く打つ。



見上げると、まあ予想通り怒り狂った平田ガールズたちがいた。



他の部員がいないところを見ると、この子たちが追い出して私を待ち構えていたんだろうな。



「お前まじで調子乗んなよ!」



「告白とかほんとに気持ち悪いんですけど」



「平田先生に迷惑だってわかんないわけ?」



この状態で怒鳴られ続けたら、なんだか自分はものすごくちっぽけな存在でいらないもののように思えてきてしまう。



それでも勇気を出して、声を振り絞って出した。



「…確かに考えなしな行動だったと思う。だけど、抑えられなかった」



「…ほんとにウザい!絵の才能も持ってて、天才だとかもてはやされて、無駄にモテるくせに、興味ないみたいな顔して、平田先生にも特別扱いされて、あんたみたいになんでも持ってる人間、大っ嫌いなの!」




その子は目を潤ませて、声を震わせていた。



手を振り上げるのがわかったけど、防げなかった。



叩かれる、そう思って目をつぶって衝撃に耐えようとする。




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