(完)最後の君に、輝く色を
「飛鳥、描いていい?」



静かに聞くと、飛鳥は頷いた。



「俺どんな顔すればいいの?」



「そのまんまでいいよ。かっこいいから」



「マジでそういうのやめろ」



文句を言いながらも私の方に顔を向ける飛鳥。



一つ一つ丁寧に書き込んでいく。



全てを見透かしたような真っ青な目、

きめ細かい白い肌、

そして、出会った時は不満そうに曲がっていた口角は…


今は笑っている。



無意識に言葉が滑り出していた。



「飛鳥、あの時私はあなたのことモノクロだって言ったけど、もうモノクロなんかじゃないよ」



「たくさんの色が溢れている。
楽しい色も悲しい色も。
飛鳥は今"此処"にいるよ」



描き終わって、飛鳥に向けて笑ってみせた。



「どうしたの」



飛鳥は泣いていた。



透き通った綺麗な水がその肌を流れ落ちている。



泣き顔までもが美しい。




< 96 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop