琥珀の奇蹟-WOMEN-
隆弘と交際を始めてから、もうじき3年。
きっかけは、友人に誘われていった”飲み会”という、ごく平凡な出会い。
…と言っても、その頃、隆弘には恋人がいたし、私にも片思いしている男性がいた。
縁というのは不思議なもので、そんな二人が出逢って半年後には交際が始まり、こうして3年の月日が流れている。
当時を振り返ると、付き合い始めはお互い傷心だったこともあり、どこか傷を舐め合うように、時間が合えば会い、相手を求め、束縛し合い、そうすることで安心感を得ていたような気がする。
もちろん、この3年間、何も不安や不満がなかったわけじゃない。
恋愛によくある、いざこざは一通り経験した。
互いに嫉妬や疑念、くだらない喧嘩からの交際解消、別離、再会、再熱…。
そうして、現在(いま)がある。
実のところ、私だって多くの男性とお付き合いしたわけじゃないけれど、隆弘との交際は、過去のそれとは、何かが違う気がしていた。
上手く表現できないけれど、この3年間、いくら喧嘩しても、交際を解消して、距離を置いて会わなかった時間さえ、”終わり”が見えなかった。
それは、口にこそしないけれど、隆弘も同じなのかもしれない。
特に、距離を置いて互いの存在を再確認した後の私たちの関係は、至極穏やかで心地よく、今はお互いに静かな時間が流れている。
…もっと夢のない言い方をしてしまうと、暗黙の了解の上に、この先、共に生きていく未来をも確定していて、そのタイミングを計ってる期間に入っているのだと思う。
だからこそ、隆弘はいっそう仕事に熱が入り、私はそれを見守りつつ、その時が来るのをジッと待っている。
こんな風に、お互いを想い合う気持ちが充分わかっていてるのに、それでも、なんだか今日は、胸の奥がスッキリしなかった。