琥珀の奇蹟-WOMEN-
最寄りの駅に着き、いつもの改札口を出ると、家路につく前に、危うく忘れそうになっていた遅い夕飯をとることにした。
念のため、通りに出て天候を確認するも、降雪もまだ先ほどと変わらず小雪程度で、食事を取る時間くらいは、問題なさそう。
本当は、適当にコンビニ弁当でも…と思ったけれど、さすがにクリスマスにそれは悲しすぎる…と、駅前のファミレスに立ち寄ることにする。
折しも、そこでは【スペイン料理フェア】なるものが催されていて、せっかくだからと、”絶品パエリア”を注文してみると、意外にも本格的な味で美味しく、ファミレスだからと侮っていた自分を反省する。
時刻は、午後9時40分。
店を出ると、さっきまで小雪だった雪が、いつのまにか大きなボタン雪に変わり、天を仰げば、灰色がかった質感のある雪が、次から次へとハラハラと舞い降りてきた。
既に、足元にも薄っすら雪が積もり始め、歩くのにも充分気を付けないと、滑ってしまいそう。
『ホント、ついてない…』
思わず、口に出して呟いてしまう。
自宅のマンションまでは、ここから徒歩5分。
タクシーに乗るほどではないものの、足元に注意しながらゆっくり歩いていたら、結局、部屋の前に到着するまで、いつもの倍以上の時間がかかってしまった。