琥珀の奇蹟-WOMEN-
『先ずは、お風呂で温まってきて、その冷たい手で触られたくない』
半分は本当だけど、もう半分は、あまりにも身体の冷えた隆弘が心配で、まずは温まって欲しかったから。
隆弘も、さすがに自身が冷え切っていることを自覚していたのだろう。
ぶつくさ言いながらも、素直に従ってくれる。
湯船のお湯を捨てなくて良かった。
あのラベンダーの柔らかな香りに包まれたら、もしかしたら、そんな気も失せるかもしれないけれど、それでも今日は、隆弘の腕の中で眠れると思うだけで、嬉しかった。
『柚希』
浴室に向かう隆弘が、私の心の内側を敏感に察したのか、こちらを振り返る。
『残念ながら、今日は気が変わることはないから、覚悟しとけよ』
『!!』
私は、恥ずかしさのあまり真っ赤になり、隆弘は満足そうににやりと笑って、浴室に向かう。
12月25日
まもなく深夜0:00になる。
聖なる夜に、訪れた最高のプレゼント。
今年は来ないと思っていた、サンタクロースに、感謝するしかない…。