琥珀の奇蹟-WOMEN-
『ん…柚希…?』
寝ぼけたように私を呼ぶ隆弘。
『ゴメン…起こしちゃった?』
『外…どう?』
『うん、雪はやんでるし、車も普通に走ってる。この分だと、電車も大丈夫じゃないかな?』
『それは…良かった…』
そう言うと、再び睡魔が彼を襲い、夢の世界へ引き戻してしまったようだ。
当然、疲れているに決まってる。
もう少し、そっと寝かせてあげることにしょう。
私はその間にシャワーを浴びて、昨日洗った隆弘のワイシャツにアイロンをかけ、朝食の準備をする。
やることは盛りだくさん。
『良し』
気合を入れて寝室からリビングに向かう。
…と、昨夜から壁に掛けたままだった、自分のベージュのコートが目に留まる。