琥珀の奇蹟-WOMEN-

まただ…昨日からやけに、このコートが気になってしまう。

しかも今朝は、何故だか分からないけれど、特に向かって左側のポケットが…。

不思議な力に導かれるように、左側のポケットに手を入れた。

『ん?あれ?』

ポケットからは、入れた覚えのない小さなジップパックに入った直径1センチほどの小さな球体が出てきた。

半透明且つ、橙色か黄褐色の混じる水晶のようなもの。

『綺麗…』

いつからポケットに入っていたのか分からないけれど、その不思議な色合いと模様は、思わず吸い込まれそうなほど、引き寄せられる。

角度を変えると微妙に変化する発色に魅入られて、思わず目が離せずにいると…

クシュン

唐突に出たくしゃみで、我に返り、同時に自分が今、半裸状態であることを思い出す。

『いけない、それどころじゃなかった』

そうつぶやくと、その不可思議な石は、もう一度元あったポケットにそのまま戻し入れ、急いで浴室に向かう。


結局、その石の名前や、その石の持つ不思議な力の話を隆弘から聞くことになるのは、これから約1時間半後のお話…。


Fin

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