琥珀の奇蹟-WOMEN-
狭い路地を抜け、石畳の歩道に出ると、昼間のように明るいイルミネーションの真下をまっすぐ駅に向かって歩く。
そこかしこの店から、流れてくる、にぎやかなクリスマスソング。
途中、忘れずに、今日行く予定だったスペイン料理のお店にキャンセルの連絡をする。
たまには二人で贅沢な食事をしようと、かなり前から予約をしていたけれど、最近仕事が忙しい隆弘の状況から、こんなことも想定内だったので、料理は当日に決めることにして、席だけの予約をしていた。
今日のような日は、席だけのキャンセルなら、お店も困らないのだろう。
案の定、キャンセルの連絡をしても、予想通りキャンセル料も取られず『また次回、是非ご利用ください』と、丁寧に電話を切られた。
小さくついた溜息は細く白く、首に巻いたストールを口元まで覆い、小雪の舞い散る中、足早に駅へと向かう。