過保護な御曹司とスイートライフ
「私、軽く遊べるような女じゃありませんよ」
目を瞑りながら告げると、すぐに「知ってる」と笑みを含んだような声が返ってくる。
「俺だって、軽い気持ちで言ってるんじゃないし……大事にしたいと思ってる」
真っ直ぐな言葉を受け、ギュッと胸が掴まれたみたいに苦しくなるのを感じながら「でも」と話す。
「私、面倒ですよ。性格もですけど……その……付属のものもありますし」
辰巳さんとのことをどうにかしないと、先に進めない。
そして、それは簡単じゃない。
だから言うと、成宮さんは明るく笑った。
「そんな小さい障害、なんでもねーよ。一緒に乗り越えてやる」
成宮さんが言うと、本当になんでもないように思えるから不思議だ。
なんでもないように思えるし……成宮さんと一緒なら、本当に乗り越えられるとも思えてくる。
肩に入っていた力が抜け、息をつく。
もやもやとした霧がかかっていた心のなかが晴れ渡り……見えた気持ちを素直に口にした。
「私も、成宮さんが好きです。いつでも明るくて純粋で、一緒にいるだけで楽しい。私、この二十日間、ずっとドキドキしてました」
隠せない本音を告げると、しばらくしてから上から「……ん」と短い返事が降ってくる。
珍しい声のトーンに、どうしたんだろうと思い「成宮さん?」と見上げると……目を逸らし、耳を赤くしている成宮さんの姿があった。
照れてるのかな、と思いながらじっと見ていると「こっち向くな」と怒られた。
「なんか……結構、顔がニヤける」
それでも、照れているところなんて初めて見たから珍しくて目を逸らせずにいると、「あー、いい加減にしろ」と唇を塞がれる。