過保護な御曹司とスイートライフ
「そういうつもりじゃ……」
「俺を旦那にしてみるか?」
出しっぱなしになっていた水を、成宮さんが止める。
でも私の手はまだ泡がついたままだ。だから、成宮さんが距離を縮めて迫ってきても逃げられない。
目の前まで迫った成宮さんが、触れるだけのキスをし……わずかに距離をとるとニッと口の端を吊り上げる。
のどかだったはずの雰囲気が、一気にしっとりと色づく。
「……どうする?」
色気の含まれた低い声に問われ、頭の奥がとろけだしたのを感じた。
私の足にもう鎖はない。
それは、隠れた優しさが見せていた幻だと気付いたから。
自由になった未来。
好きな場所にいていいのなら……私は、成宮さんの隣にいたいと思った。
「いつか、そうできたらいいな、とは……正直思います」
私が未来の希望を言葉にしたからか。
成宮さんはふわっとやわらかく微笑んでもう一度近づく。
「じゃあ、〝いつか〟俺の嫁になるって約束な」
たっぷりと時間をかけてキスしたあと、成宮さんは「その時がきたら、今度は俺からプロポーズする」とうれしそうに笑った。
END
2017.12.26