過保護な御曹司とスイートライフ
「元から、誰でも彼でも連れ込むつもりねーから問題ない。家とか教えんの好きじゃねーし、親父と慶介くらいにしかここも教えてないくらいだしな」
苦笑いで「自宅代わりにしてる部屋なんか、簡単に教えたくないだろ」と言われ……まぁ、気持ちはわかるなと思うものの。
「でも、私は知っちゃいましたけど……」
場所どころか、間取りも調味料の位置も、この部屋では知らないものはないくらいに知ってしまっている。
この場所を知っているのが、お父さんと慶介さんと私って……どう考えても並びがおかしいと思い眉を寄せると、成宮さんはカラッとした明るい笑顔で言う。
「ああ、おまえは大丈夫だろ。危ないヤツでもないし、第一、真面目だしな」
「……それ、一体どこを見ての判断ですか? 出逢ってそう日も経たないのに」
もちろん、私は危ないヤツではないつもりだし、真面目でもあるから成宮さんに危害をあたえたりするような行動はとらないけれど。
それにしたって、私をそう判断する審査が簡単すぎる。
危険人物の可能性だってあるのに。
「そんなだとすぐ騙されますよ。私がもしも成宮さんの財産を狙ってる女泥棒とかだったらどうするんですか。ほら、よく言うでしょ。泥棒は一度、忍び込んで部屋の中を確認してから再度盗みに入るって」
ふざけて言っているわけじゃないのに、成宮さんは「ああ、ルパンもそうだもんな」と楽しそうにするから、眉間のシワがますます深くなる。
そんな私を見て、成宮さんは「まぁ、でもおまえは大丈夫だって」と再度言い切った。
「根拠はないけど、雰囲気とか勘でわかる」
「……勘」
「三十年間、それなりの人間見てきた上での勘だし、ハズれねーよ」