過保護な御曹司とスイートライフ
『大事にしてあげてね』
再三、慶介さんに言われた言葉が耳の奥で何度も響く。
許されるなら、大事にしてあげたいと思う。
でも私は……真面目な成宮さんに、抱いて欲しいなんてお願いしたような女だ。
成宮さんの善意を利用して……今だって、利用し続けているようなあさましい女でしかない。
そんな私が成宮さんを大事になんて、してあげられるわけがないし、そんな権利ない。
始まり方さえ違っていたら……と考えてしまう頭をふるふると振る。
考えたって仕方ない。始まり方も……足に絡まったままの鎖も。
結局はどうにもならない運命はもうすぐ後ろまで迫っていて、その存在に目をつぶった。
『おまえにとっての魔物は、あの部屋と家族と……あと、あいつなんだろ?』
いつか成宮さんが言った言葉が、頭の奥で聞こえていた。