Darkest White

一瞬…一瞬だけ、ドキッとしたのは秘密。


「あ…ありがとう。」


どうして…同級生なのにこんなにも余裕さが違うんだろう。

神様は不公平だ。


「光はさ、学校行ってるの?」

「…ああ。」

「まじかー。」

「んだよ。」


不良に見えたから、なんて口が裂けても言えないけど。


「大人っぽいね。」


だけどこれは本音。わたしとは次元が違うんだ、そもそも。


「…そうか。」

「…うん。」


なんでだろう。いつもの自分だったら、岬が言うように、『バカポジティブ』で、冗談でもなんでも話題が尽きることなんてないのに…

光の前だと、なぜだか臆病な自分がいる。本当のわたしを見てくれるからかな…?

って、何言ってるんだろう。気持ち悪い自分に苦笑する。


そのあと特に何を話したわけでもなかった。

ほとんどが沈黙で、だけどそれも不思議と悪くなかった。


「…たぞ、…おい。」

「ん…。」


目をあければ、ドアップに光の整った顔があって、思わず悲鳴をあげそうになったところでぐっと堪えた。


「起きろバカ。」

「バカバカつけなくていいでしょーいちいち。」

「着いたぞ。バカ。」


光は意外と子供っぽいところもあるのかもしれない。

わたしをからかうのを楽しんでいるようにも見える。

完全なるドSだ…


「どこ?」

「店。」

「いや、そんなこと言われたって、」


ぐいっと腕を引かれ、思わず仰け反りかえりそうになった。

ドッ、ドッ、ドッ…。



やばい…っ



「あ…ごめん。」


思い出したように手を離す光に首を振る。

光は何も悪くない。

だから、謝らないで…?
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