Darkest White
なんとも言えない空気感の中ショッピングモールに足を踏み入れた。
先ほどから痛いほど感じる視線はきっと全てお隣を悠々と歩く彼様に向けられたもの。
どうしてこんなにも人間がここまでカッコよくなれるのか。もう、感心を通り越して呆れだね、うん。
「身長何センチ?」
と聞いたところ、そんなの興味ねえから知らねえ、という謎の答えが返ってきた。
普通だいたいはわかるでしょう、だいたいは。
「じゃあ183ってことね!」
と言えば、
「好きにしろ。」
と苦笑された。
っていうことで、わたしは彼の名前と身長とを勝手に決めさせてもらったのだ。
しばらく無言で歩いていると、彼はふと、女子が好きそうな流行りの服が並ぶ店舗の前で足を止めた。
「好きなブランドねーのかお前?」
「ブランド…?」
いつもお母さんが買ってきてくれるから…よくわかんないかな。
そう思い彼を見上げれば、はあ、と盛大なため息をつかれた。
「めんどくせえ。優柔不断。」
「はい?優柔不断とは関係ないでしょ。わかんないんだもん。」
「じゃあここで買え。」
そう言って光にはめちゃくちゃ不釣り合いなゆるふわ系ショップに入った。
光がわけわからない、といった様子であたりを見渡す姿がおかしくて、思わず声に出して笑ったら、めちゃくちゃ睨まれた。
「買え。」
「いや、そう言われても…今の服でいいし。」
「制服か?」
「ほ、他にもあるし。ワンピース。」