Darkest White
「で、今日も料理作ってくれるのー?」
「うん、まあ、…でも何にもないです…ないよ。」
「男だけだしねえ…んんー、適当でいいよ。俺朝食べない派だし。」
本当に適当だなあ、おい。
「じゃあ光の分だけでも何か作ろうかなあ。」
「あははっ、主婦みたい。」
「ちょ、からかわないでよお!」
朝から岬とギャーギャーやっていれば、階段から光がだるそうに降りてきた。
「うるせえ。」
「ちぇー、つれねえなあお前も。」
岬はぷうっと頬をわざと膨らませている。
「きめえんだよ。」
「あーはいはい。」
岬は光の冷たい態度にはもう慣れっこな様子だ。
「ねえ、光、そういえばどうしてわたしが怪我してた時は家にいたの?」
これは実は前から気になっていた。今は毎朝通ってるのに。
「別になんだっていいだろ。」
そう答えた光に岬がケラケラと笑う。そしていかにもな感じでわたしに耳打ちをしてきた。
「凛ちゃんがいたからだよ。あれでもあいつ、心配してたから。」
「えっ…?」
「おい、余計な事言うなよバカ。」
「言ってねーよ。」
キュッ…甘い。切ない。
なんだろう、これ…最近、おかしいな…
「別に飯作んなくていい。お前も忙しいだろ。」
光はやっぱり不器用だけど光なりの優しを持っている。
「ううん、でも、作りたい。」
適当に残っているものを集めてフレンチトーストとサラダを作れば、あれだけどうでもよさそうだった岬が一番に食いついてきて思わず笑ってしまった。