Darkest White

夜、わたしは広いリビングのソファでごろごろしていた。


光は今シャワーだ。


岬と光は、よく夜中に出かけて行く。


どこに行ってるのか、聞いてはいけない雰囲気を漂わせている。


そういう時、やっぱり他人だなって、感じるんだ。



「風呂上がった。」


低い声が聞こえて振り返れば、上半身裸の光が、濡れて色っぽくなった髪をタオルでワシャワシャしているところだ。


「ちょ、ふ、服…っ」


慌てて視線をそらせば、光がフッと笑うのが聞こえた。


「本当お前経験ねーよな。」

「し、仕方ないじゃん…、ないんだもん…。」


どかっと光がソファに座った重みで、わたしが少しだけ高い位置になる。

ふわっと香るのはシャンプーの匂い。

リンゴの匂いじゃないけど…


「髪、やわらけ…」


そんな時、気づけば光がわたしの髪に手を伸ばしていた。


え………。


体が震える。

っ…や、め…て


光はすっと手を離すと、わたしをしばらくじっと見つめていた。



「怖えーか。」



っ…



「俺はお前に何もしねえよ。」



顔を上げれば、なぜだか少しだけ寂しそうな表情をした光がいて戸惑った。


どうしてそんな顔をするの…?



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