Darkest White
気づけば、わたしは大きな温もりに包まれていた。
シャンプーの匂いが鼻をかすめる。
「俺がいる。」
「…っ、助けて…」
「俺がそばにいるだろ。怖えーもんなんてねえんだよ。」
光っ…っ
強く背中に回った腕は、とても力強くて、わたしの全てを包み込んでくれている。
怖いはずなのに…どうして、男の人とこんなに密着して、発作が起きないの…?
「俺がお前に見せてやるよ。」
「っ…光っ…。」
「サイコーな世界、見せてやる。」
「っ…。」
「だから、俺についてこい。」
泣けない。
泣けない。
でも、少しだけ胸の奥の痛みが引いたような気がした。
光の温もりが心地よい。
全体重を全て光に持たせかければ、光が強く受け止めてくれる。
わたしの体なんてすっぽり覆ってしまうかのように大きな光に、胸が高鳴る。
骨ばった手が、なんどもわたしの背中をさする。
どうしてこんなことをしているの?
でも、今はそんなことはどうでもい。
光がこうやってここにいることは、事実だから。