Darkest White
「行けーーー!!襲撃だーー!!」
しゅ、襲撃っ!?
いやいやいや…ないないない!!
ここはどこですか?時代劇中ですか??
だけど明らかに頭がおかしい連中が勘違いして迫っているのを感じて、これこそ人生の崖っぷち!というこの瞬間になって、わたしはどこか自分自身に、違和感を感じていた。
そう。だって心の奥底に、妙に落ち着いている自分がいるのを知っていたから。
だから…
夜の暴走集団よりも…
…自分のその心境の方が怖かった。
動けなかった…
っていうのはただの言い訳。
動かなかった。
そのとき自分が何を思ったのかわからないけれど、
ただ、動きたくなかった。
そんな間にも無数の足音は迫ってきていて、
さっき逃げていれば間に合ったものの、
意図的に動かなかった自分のせいで、
逃げる時間、ましてや隠れる時間さえもないような気がした。
何が迫ってきているのかはわからないけれど、
きっと夜に暴れる不良軍団というところだろう。