Darkest White

「乗れ。」

そう言って光が軽車の後部座席を開ける。

「え…。」

「はあー、いいから乗れ。」

光が扉を軽く叩く。

「どこ…?」

「んなのどうでもいいだろ。」

わたしが困惑気味に顔を上げると、光は首を軽く振って答えた、

「仕事、見たくねえのか?」



暴走現場とか、警察への侵入とか、まさかは殺人なんて恐ろしいものを想像していたわたしは、近くの会社へ来て拍子抜けした。

「光って会社員だったの?」

そう尋ねれば、

「さあ?」

って曖昧な返事が返ってくる。

こういうところ、ムカつくんだよなあ。

その余裕そうな表情とか、特にね。

でも仮にも高校生が会社員なんてありえない話…。

仕事と学校を両立してるの?…って、おかしくないか?普段はじゃあ学校行った後に仕事してるってことなのかな…

本当に謎は深まるばかりだ。


「仕事なんてわたし行ったらまずいんじゃないの?」

「ただ紹介するだけだ。世話になってる人が驚かねえようにな、家来たとき。」

確かに同年代の女子高生と同居してるってなったら飛んだ騒ぎになりそうだ。

あー…どうにかしないといけないんだけど、出る気にはなれない。

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