Darkest White
エレベーターは会社にあるようなごく普通の作り。
本当に光は普通のサラリーマンなのだろうか…?
にしてはお金持ちすぎるというか…なんというか…
やばい人?
ですね…はい。
「何階?」
「五階。」
光はそう答えるとボタンを押す。
エレベーターの鏡に寄りかかっている姿も、それだけで様になっている。本当にこの人はすごいと思う…オーラが半端ない。
「着いたぞ。ここで降りろ。」
エレベーターが五階で開く。ここに着いたって、そのくらいはわかってるし!どれだけバカだと思っているのかな、この人。
そんなことをめぐらしながらエレベーターを光に続いて出る。普通の廊下。普通のオフィスが並んでいる。
ここどこ?なんでわたしも来てるわけ?
光〜!!
その背中を睨みつければ、光は背中にも目があるらしい。ギロッと殺すような眼差しで睨み返された。
ガチャ。
オフィスの一つの扉を光は開けると、わたしの腕を軽く引く。
「おお、ってえ?お前誰、それ?」
中にいた一人の男の人が驚いたように眉を釣り上げる。
20代後半くらいの男性だろうか?優しそうな雰囲気で、茶色いパーマの髪がなんだか面白い。
「親戚の子です。ここのコンビニで働いてるんで、紹介しようと。」
光って敬語喋れたんだ…その方が驚き。この人、お医者さんもなめてるもんね。
で、コンビニね…うん………コンビニでアルバイトしてるけど……最寄駅の…ん?ここのコンビニ?……ここのコンビニだあ!?!?!?
はああああ?!?!?!
「ほおー、へえー。なるほどねー。にしてもここまで連れてくるのはやめとけよー。」
ですよね………やっぱり非常識なのは光みたい…って!!非常識にもほどがある!!!ここで働くなんて言ってない!!!一言も言ってないよね、わたし????
とうとう奴隷にされるの…???無給で???ありうる……。
「そっすよね、すいません。」
光が今謝った?!?すごい……ちょっとこれは貴重映像かも!!
じゃなくて!!どういうことですかこれはー!!