Darkest White
「朝だってしてるし…って、あ。」
うっかりと滑り出てしまった言葉に絶句する。
すぐさま色を変えた光の目つきに後ずさりする。
やばい…学校行ってないこと…ばれ、た?
永遠のように思えた。前のわたしだったら起こりえない、『無』の空間。会話をすることで気を紛らわして、笑い続けることで虚しさを押し殺していた。
光に出会ってからだ。沈黙なんてもの、続いたの。
きっと数秒だったに違いないのに、身体中が震えているような気がする。こんなにも静けさに弱い人だなんて知らなかった。
光は静かに目線をわたしに向ける。スッと流されるその瞳が、その全てが、どうしてか威圧的で、びくりとする。
怒っているの…?
光の湖面のように静かな瞳はなにも物語らない。光が見ている世界を、一度でもいいから覗いてみたい。
その曇りのない瞳から見える世界は、きっと綺麗なんだろうな。
「お前は……、」
光の低音の声が地を這う。
「一度でも甘えたことがあるか。」
わたしを見据える光は、いつまでも無表情だ。
「お前は、自分の生きたい自分を生きたことが、一度でもあるか。」