Darkest White


「……。」


『何か辛いことがあったら、なんでも僕に言いなさい。』


「……っ、」


『凛、返事は?』


小さい頃からずっと聞いてきた、笹原さんの少しだけ厳しい口調。心配している時にだけ呼び捨てにされる、『凛』。そんな声も全て、ただ、重みになってわたしにのしかかる。


「ただ…疲れてて。」


『……凛、僕は、きっと凛のパパになる。だから、それまで、待ってろよ。』


最後はいつだってそういう笹原さん。吐き気がして近くのゴミ袋に吐いた。嘔吐物を見て、もっと気持ち悪くなって、ベッドに寄りかかる。



頭痛。



久しぶりの頭痛だった。

ここ一ヶ月くらい、一度も到来しなかった体調不良。


いや、精神不良?



「またね。」



ーさようなら



そんな言葉、きっと言えない。喉が痛くて視界が狭まる。さようなら、っ…さようならっ……そんなこと、絶対に言えない…わたしって、本当に…最低だ。



『じゃあな、凛ちゃん!またな!』



答えられなくて通話を切る。


真っ暗な部屋。真夜中の一時。



時差があると思ってるから変な時間帯にかかってくる。そんな気遣いも、きっと眠いだろうにオランダの時間帯に合わせてくれる笹原さんが、大好きで…っ、大好きでっ………


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