Darkest White

定期的に来るやつ。


風邪じゃない。



「チッ。」


軽い舌打ちが聞こえたかと思えば、ふわっと宙に浮いた。



「ぅっ。」

「大丈夫か?」



大丈夫なわけないじゃん…


胃がまた気持ち悪い。



「こ、…う、気持ち悪い…。」


霞んだ視界の奥に見える、伏せ目がちの瞳に言う。


「ちょっと待て。」


そう言うと、一番近くのトイレに連れて行かれる。ふらふらしているわたしを気遣うように、ゆっくりと筋肉質な腕でわたしを下ろしてくれる。


だけど彼はなかなか離れない。


「こ、っう?何してん…の。」


「体調わりいんだろ。置いてけるわけないだろ。」


わたしは返答しようと思ったが、一気に胃がグワンと気持ち悪くなり、便所に汚物を出した。


「ぅえっ、」


その間ずっと背中に感じるのは、光の温かい大きなて。ゆっくりとさすってくれるそれは、笹原さんを思い出させた。


その顔を考えた瞬間、一気に吐き気が押し寄せてくる。


「全部出せ。出せば出すほどお前は気が楽になる。」


これを全部出せば…罪は償われる?

ごめんなさいって言えば、許される?

これから負うであろう深い傷を、治せる?
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