Darkest White
寝室のベッドに倒れこむように横になる。
「口ゆすげ。」
そう言われて受け取った水で口をゆすぐが、それを飲み込む気にもなれずそのまま液体を口の中に含む。
すると光は水を一気飲みをして、空になったペットボトルを、ん、と差し出す。
何だろうと思って見上げていれば、
「出せ。」
と無愛想に彼は言う。ありがと、そうお礼を言って水分を出せば、ずっと体が楽になった。
「花瓶打った場所、痛くねえか?」
光は部屋に戻らず、何をするでもなく、窓際の壁に背をもたせかけて、静かに目を瞑るわたしを、見つめている。
まだ少しだけジンジンするけど、いつものと比べればどうってことない。
「大丈夫だよ…。」
そう答えながらも、まだ、あの優しい声が耳の奥でこだましている。
「変なもん食ったか?」
「んん…。」
「お前さ…最初の頃、割と具合悪かったよな。」
「…ん。」
「聞いてんのか?」
「……。」
聞こえてる。でも、ただ、優しい音楽みたいに流れてくる光の声を聞いていたかった。
全てを知っているような瞳をしている光。怖いから必要以上に近づきたくはない…それでも、やっぱり光に焦がれている自分がいる。
人間として……
今、そう、断言できるだろうか。