Darkest White
「なあ。」
前だったら光から話しかけてくることはなかった。それなのに、今はこうして、わたしに向かって語り続けてくれている。
光。
そんな光の些細な変化を感じるたびに嬉しくなるわたしはおかしいのかな。
「……なんでもねえ。」
光はきっと気づいている。わたしが起きて耳を澄ませていることを。ただ、それに触れることはない。それが光なりの人との接し方なんだ。
「……いつかさ、」
わたしは小さく光に言う。聞いてくれているのかいないのか、目をつむった先には暗闇しか見えない。
「幸せってさ…掴めるのかな。」
柄にもなく、そんなロマンチックなことを聞いて考えているわたし。幸せなんて言葉は、計り知れないほど広く浅いもの。
一人でお風呂に入れるようになって、幸せになれる幼稚園生がいる。
だけど、毎日一人で好きな物を食べれて、一人でお風呂に入れて、一人で過ごせる生活を送っていたわたしは、ちっとも幸せになんてなれなかった。
光ならその答えを知っているような気がした。
光が誰なのかもわからないけれど、なぜか、光が言うことは全て真実なのではないかと思った。
「そんなの自分で考えろ。」
光らしいと言ったらそうなのかもしれない。
だけど、答えをわたしは求めていた。