Darkest White
「じゃあさ、」
わたしは微かに目を開く。
光の恐ろしく鋭い、まっすぐな黒い瞳がそこにはある。
わたしの言うことを待って聞いてくれている人がいる。
「家族とか愛とか、光は信じる?」
どうしてその質問をしたのかは、今でもわからない。ただ、光は今まで誰にも愛されたことがない、そんな気がした。
一人で生まれ、一人で育ってきた。そんな人に見えたんだ。
「………永遠の愛は、信じねえ。」
光はそれだけ言うと、早く寝ろ、とだけ告げて部屋を出て行った。
光が考えていることは、憶測不可能だ。
光にとっての『愛』は、きっとわたしにとっての『愛』の形とは異なっているのだろう。
わたしの『愛』は、初く儚い。
『パパ』
小さい頃、そう名を呼んだことがあった。その時、あなたはとても嬉しそうに笑うんだ。
『ママ』
そう呼んだ時のあなたからは、鈍い痛みしか覚えていない。