Darkest White
HERO
たまに思う。
もし、わたしが普通の女の子だったらって。
考えたってきりのないことを想像してしまう。
最後に家族で誕生日ケーキを囲んだのはいつだろう。
最後にお母さんが授業参観に来たのはいつだろう。
最後にお母さんがわたしを抱きしめたのいつだろう。
ごめんなさい。
馬鹿の一つ覚えみたいにそれを繰り返すばかり。
お父さん。
その名前が、胸の奥を押しつぶすんだ。
お父さん。
お父さん。
その名前を呼んでみたかった。
ごめんなさい。
やっぱりわたしにはこの言葉しか出てこない。