Darkest White
----…ーー
あの日から、わたしは光から一定の距離を取っている。
全て見透かされているようで怖かった。全部わかっているのではないか。そう思ったら不安でならなかった。
帰るあてもないわたしにとって、光は天使のような存在だ。だけどその一方で、すごく、すごく、怖いんだ。
神…
その言葉がこの人には一番似合うのではないか。そんなことを最近思うようになった。
最初は悪魔だった彼が天使になり、今度は天使から神になる。本当にすごい人だと思う。
「勉強してるの?」
わたしは冷蔵庫から麦茶を取り出しながら、珍しくだだっ広いリビングルームのほこりひとつないガラステーブルに向かう岬に話しかける。
「あー、うん、まあそんなところかな。」
岬は顔を上げると、へらっと笑う。最近岬は忙しいみたいで、二日、三日と家を空けることも珍しくはない。
岬は相変わらず温かい、それでいてどこか孤独な雰囲気を取りつくろている。その雰囲気が落ち着かないのは、きっとわたしだけじゃないはず。どこか近寄りがたい、だけどそれでいてチャラそうな…変わった人。
「岬って、大学行ってたっけ?」
間抜けな質問をする。
こんな人が大学行ってるなんて世にも奇妙な話だ。仕事場だって謎だし、誰なんだろ、この人。
「行ってないよー。」
うん、やっぱり。
「今、やっぱりって思ったっしょ?」
「いや、別にー?」
「嘘つけ〜。でも俺バカじゃないからね!」
今ウィンクする時点で、バカ丸出しです、はい。