Darkest White
……………………。
な、にそれ……
「どーしたのー?」
岬がぐっと近づいてきて、思わずビクッと震える。
恐ろしく整った顔の奥に居座る、光のない茶色い瞳。
…怖いよ。
ギュッと拳に力を入れる。岬なのに何を怖がってるの…?怖くない…怖くない…っ
「おい。」
ふと声が聞こえて岬が顔を上げる。わたしまだガチガチに固まっていて動けない。距離は30cmくらい離れてたのに、それでも、震えが止まらないんだ。
「離れろ。」
ドスの効いた低い声。
この低音ボイスを出せるのは、たった一人しかいない。
「んだよおー、うっせえなあ。」
そう言いながらも、岬は興味をなくしたのかすんなりとわたしから離れる。
足が固まって動かないのを、なんとかほぐしながら、一歩だけ後ずさる。
「お前、具合悪いんだよな。」
「……ぇ?」
そう言われるやいなや、光に背中を押されて階段を上がらせられる。
どうしてだろう。
同じ男性なのに、光に触れられた場所から、じんわりと硬くなった体がほぐされていくような気がした。
わたしの部屋に入ると、光は雑にドアを閉めると、どさっとベッドに腰をかけた。
「危機感をお前はもってねえのか。」
「え…?」
「あぶねえんだよいつも。」
「はい?」
「服装から全部。女だって自覚しろバカが。」